【現地人に聞くメキシコ🇲🇽事情】テキーラ&ドラッグだけじゃない、約100倍の年収格差や物価事情
突然ですが、メキシコに対してどんなイメージを持っていますか?
テキーラ?
ドラッグ?
悪い治安?
…… タコスやテキーラといった美味しいご飯がいっぱいある一方で、「麻薬」「治安が悪い」といった悪いイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
もちろん、それも間違いではないです(←え)が、危険な地域や都市を避けていれば普通に生活できますし、私は何年も住んで親切でフレンドリーな人が多いと感じます。また、おしゃべりでパーティー好きな人も多く、オフィスでは沈黙に耐えられないため音楽を流したり、週末は思いっきりパーティーを楽しんだりと、明るく賑やかな国民性があります。
今回は、そんなアウトロー&ネガティブなイメージを払拭すべく、実体験を踏まえたメキシコのリアルを紹介していきます。
単純明快なメキシコ人ではありますが、国の歴史や文化はとても複雑。
メキシコは国家としての歴史は浅いのですが、古代マヤ文明など古くから発展した文明が栄え、色んな民族が各地で独自の文化や習慣を発達させてきました。そのため、地域によって食文化や方言が全く異なり、先住民が多く住んでいる地域もあれば、外国人が多く移住している地域もあり、多様性に富んでいます。メキシコ人でさえも違う州に行けば異国にいるように感じるというほど。
このように、メキシコには色んな顔があり、その“深み”も魅力的であると感じています。
年収格差は約100倍!? 年収7〜770万円まで。
現在、メキシコは経済面で好調を見せています。
CEI(グローバル市場経済統計データベース)によると、一人当たりの平均年収は、2020年12月の約39万円から2022年12月時点では、約55万円にまで増加。しかし、国内の格差が激しく、階層によって年収は大きく異なります。上流階級に位置する人々は、月収約64万円、単純計算すると年収770万円稼いでいるといわれています。
人口の38%を占める中流階級になると月収15〜18万円(年収180万円)にまで下がり、人口の62%を占めている下流階級は月収7万5,000円〜10万円(年収90〜120万円)にまで大幅に低下します(The Yucatan Time, 2023) 。
人気の職種は、IT系って本当?
そのため、人気の職種や業種も画一化できないのが現状で、日本のように「今はIT業界が人気がある」など一口にはいえないそうです。実際、私の知り合いに聞いてみたところ、「正直分からない」「社会的階層によって違うと思う」という意見が大半でした。Linkedinの調査によると、ソフトウェア・エンジニア、営業職、ブロックチェーン開発者といった職種が人気だという結果が出ていますが、おそらくある程度教育を受けた中流上層階級や上流階級の方々が対象とされているため、一般的に人気のある職種だとは断定できないのが実情です(Mexico Daily Post, 2021)。
こっちも幅がありすぎな物価・家賃事情。タコスは80円、マックは1,000円超え
屋台のタコスは一つ80円から購入できたり、Comida corrida(コミダ・コリダ)と呼ばれる大衆食堂のようなところでは、スープ・主食(米かスパゲティ)・おかず(肉か魚)がセットで約600円程度で食べられたりと、ローカルな地域では比較的お手頃な価格で食事ができる場所が多いです。
ですが、日本でいうファミリーレストランのような場所で、セットメニューを頼むと約1,000円〜約2,000円かかることもあり、日本と同様の値段もしくは高くなることもあります。また、マクドナルドでハンバーガーとフライドポテトとジュースを頼んだ際は、1,000円を超えてしまったことがあります。日本では半分くらいの値段で同じメニューを頼めるので衝撃的でした。
衝撃の交通費。色々乗っても100円以下
そのように食費に関してはたまに驚くことがありますが、逆に「こんなに安いの?!」とびっくりするものもあります。それは「交通費」。
私はメキシコシティに住んでいてシティには地下鉄があるためよく利用しますが、何度乗り継ぎをしても一律約40円ほどで利用可能。さらにカンクンに行った際も、バスに約100円ほどで乗車できたので、交通費はとても安く移動には困りません。
気になる家賃は……?
さて、家賃についてはどうでしょうか。メキシコは日本と同様に地域や都市ごとに価格差が大きくなっています。今回は、日本人も多く住むメキシコシティ・グアナファト・ケレタロ ・カンクンの家賃について取り上げてみました。メキシコシティは国内で一番家賃が高く、中心地の1ベッドルーム付きのアパートで約92,000円、3ベッドルーム付きのアパートは約17万円が相場となっているそうです(Statistia,2022)。
リゾート地として有名なカンクンでは、83平米のアパートで月78,000円、ビーチ沿いにあるもう少し高価なアパートだと月20万円ほど(Cancun Adventures)。ケレタロは、1ベッドルームにロフトが付いた家では約12万円、3ベッドルームに3つシャワールームが付いた家だと月々7万5,000円かかります。
また、グアナファトは1ベッドルームに1つシャワールームが付いた家は月々3万円、3ベッドルームで2つシャワールームが付いている場合は、16万円となっており、一人暮らしをする場合はかなりお手頃な価格でお家を探すことができるかもしれません(Mexico Relocation Guide, 2023)。
消費税は日本より高く16%、その他所得税は35%以下
続いて税金や保険料についてご紹介します。消費税はIVA(イヴァ)と呼ばれ、日本より高く16%となっています(Start-ops,2022)。所得税についてですが、日本と同様に年収によって異なり、収入の1.92〜35%の税金が課されます。メキシコに労働ビザや労働許可証で来ている人に関しては、15〜30%の所得税が課されます(International living)。
さらに、医療制度に関しては意外にも充実していて、主に3段階に分かれています。1つ目は、社会保障のない人々が無償で医療サービスを受けられる「INSABI」があります。2つ目は「IMSS」という制度で、メキシコで雇用されている人は自動的にこの制度が適用され、個人事業主は自分で保険料を支払う必要があります。
3つ目は、最新の医療設備で充実した医療サービスを受けたい人は「民間の保険」にも加入しています(InterNations)。また、社会保険料は、労働者と事業主の双方によって負担されていて、それぞれの割合は給与の2.78〜36.15%以上となっています(東京コンサルティンググループ 2021)。
まとめ:物価&経済成長の動きが激しいから自分に合った生活スタイルを選びやすい
メキシコに対するイメージが変わった方もいるのではないでしょうか。もちろん物価は流動性が高いため、経済成長が著しいメキシコでは物価もこれからどんどん高くなっていくかもしれません。しかし、一般的にメキシコは生活スタイルの幅が広く、個人に合った生活スタイルを選ぶことができると思います。メキシコに興味のある方はぜひ色々調べてみてください!
写真・文:小林 真奈(Encounter Japan)
企画協力:西側 赳史(Encounter Japan)
編集:ヤスダツバサ(Number X)
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