【現地人に聞くインドネシア🇮🇩バリ島事情】海外ノマドも群がる夢のリゾート生活? バリ島の物価変動や生活費など、“お金のリアル”を徹底解説
以前の記事でベトナム・ホーチミン生活のリアルをご紹介させていただきましたが、現在私は多拠点生活をしており2022年から1年の約半分をインドネシアのリゾート地・バリ島でも過ごしています。
▼前回執筆したベトナム記事
「人生で一度はリゾート地で生活しながら仕事をしてみたい」
それが私がバリ島に移住した理由です。これまで東京、シンガポール、ホーチミンと大都市での仕事と生活をしてきたので、自分の人生に新しいバリエーションを入れたいという想いがありました。
「バリ島」とネットで検索すると、ビーチや豪華なホテルなど旅行で訪れるリゾートのイメージが沢山出てきます。そんなバリ島に通算半年以上暮らした私が見てきた「リゾート滞在とは異なるバリ島生活のリアル」を紹介します。
なぜこんなにバリ島は人々を惹きつけるのか?
バリ島はインドネシア共和国の中のバリ州にある一つの島。
まれに「バリ」という国だと勘違いされる方がいますが、国としてはインドネシアです。
このインドネシアの中の一つの島に世界中から多くの人々が訪れ、リピーター化したり、長期滞在を始めたりする人が多いのはなぜなのでしょうか? 彼らが口々に言うのは、バリ島に感じる「居心地の良さ」。この「居心地の良さ」を具体的に掘り下げていきたいと思います。
これぞ南国! と感じる気候と自然
バリ島はほぼ赤道直下にあるため、年間を通して温暖な気候です。意外かもしれませんが最高気温も30℃前半までが多く、真夏は日本の方が気温が高くなります。
雨季でも一日中雨が降り続くことは少なく、毎日朝方や夕方頃に1〜2時間ほど強い雨が降るというのが主なパターン。雨が降った後は涼しくなることも多く、まさに恵みの雨といえます。
また、バリ島と聞くと海のイメージが強いですが、東京都の2倍の面積を誇る島内の内陸部には登山を楽しめるような山や、ライステラスと言われる棚田の風景など、自然のエネルギーを至る所で感じる居心地の良い場所が必ず見つかります。
変化しない軸を持っているバリ島の文化
インドネシアは無数の島が点在する国です。現在でこそ飛行機で簡単に島と島を移動することが出来ますが、数十年前まで島ごとに分断されていたといっても過言ではありません。
そのため、今もバリ島の方々は自分たちを「バリ人」と言いますし、共通語のインドネシア語に加え地域言語にあたるバリ語で会話をするシーンもよく見かけます。
また、その独自性は宗教にも表れており、インドネシアはイスラム教が主流の国ですが、バリ島ではヒンドゥー教が主流です。このヒンドゥー教はバリ島の土着信仰や仏教と融合し、「バリ・ヒンドゥー」という独自の宗教としてバリ人に深く文化として浸透しています。祭事やイベントの日はバリ島全体が普段とは異なる様相を見せるのも、外国人を惹きつける魅力の1つです。
バリ人の優しさと厳しさ
我々外国人がそこに訪れると、バリ人から「お客様としておもてなし」の精神を常に感じますし、困ったことで相談をしても嫌な顔一つせずに助けてくれることも多いです。
また、バリ島以外から移住してくるインドネシア人もいますが、現地のバリ人から疎外されているような様子はありません。外国人を含めバリ島以外の出身者も受け入れられる寛容さも魅力といえるでしょう。
一方で前述のように独自宗教が根付いたバリ人同士では祭事を行う際に、地域ごとにバンジャールという組織が編成され、イベントへの参加、規律や秩序を守ることを厳しく義務付けられているという一面もあります。
バリ島に住んでわかった暮らしのリアル
ここからは皆さんが実際にバリ島に移住した場合、どのような生活を送るのかイメージできるようにバリ島のアクティビティ・食・住・産業・物価の5項目について説明します。
① 選択肢が無数にあるバリ島のアクティビティ
バリ島は海だけではありません。その他にも山、ヒーリング体験など、豊富なアクティビティがあります。
バリ島の海
サーフィン、シュノーケリング、ダイビング、離島ツアーといったメジャーどころに加え、魚突き(スピアーフィッシング)体験まであり、海のアクティビティ好きの方にはたまらない場所といえます。
バリ島の山
バリ島含めインドネシアは火山が多く、主要な島にはトレッキングに向いている山が存在します。山があるとそこに川も存在するため、内陸部でラフティング体験もできます。
ヒーリング体験
ヨガレッスンができる場所が多くあったり、少し山側のウブドというエリアまで行けば、シャーマンに自分の悩みを相談できる場所やヒーリング系のセレモニーにも参加ができます。
このように積極的に動くこともできますが、海沿いのカフェでひたすらのんびりするだけ、という過ごし方もできます。その選択肢の多さがバリ島の魅力の一つと言えます。
② とにかく安いローカルご飯
バリ島の食事は同じものでもどこで食べるかで値段がピンキリです。
インドネシアの有名なナシゴレン(焼き飯)やミーゴレン(焼きそば)は半分外の屋台であれば1食100円で食べられる場所もたくさんあります。一方で、高級ホテルの中のレストランでは同じメニューが1食1,000円程度する場所もあります。
ローカル屋台のご飯に限定すれば1食100〜300円程度、日本食レストランでラーメンやお寿司を頼むと1食800円〜が相場になります。
また、バリ島の属するインドネシアはイスラム教徒が多数を占めるため、お酒は高額になりがちです。ビールの小瓶(330ml)が、スーパーで購入するなら1本約200円、お店で頼むと1本300円〜と現地の物価から見ると割高です。
③ 開発が進むエリアの家賃は高騰
私が滞在するのはバリ島の中でも新規開発が進むチャングーというエリア。このエリアはものすごい勢いでヴィラやホテルが建設されていて、3か月くらい空けて訪れると街の景色が変わっています。
このうち新築ヴィラは家主が住むためではなく、転売や貸出目的。直近の事例ですと1棟で5部屋、庭にプール付きの物件で買取なら約4,000万円、賃貸なら月に約25〜30万円が相場です。
数年前はチャングーエリアも物件は安く、同じような間取りのヴィラ1棟が月に約10万円で借りることができたという話も聞いています。
とはいえ、外国人が借りる一般的なローカルアパートは月3万円〜、それに比べ友人やご家族でヴィラ1棟借りて暮らすのであれば一人当たり月に約5〜6万円。新築でプール付きと考えればさほど高くない印象です。
④ バリ島の産業復活! ノマドの聖地へ
バリ島の主な産業は観光に関するサービス業と農林漁業です。また、インドネシア人の平均月収は2022年のデータで約2万6千円(首都のジャカルタを除く)となっています。
観光業が主な産業の柱の一つのため、コロナ禍中は旅行関係者は減給や一時的な解雇、会社が倒産などかなり厳しい状況だった、と現地で旅行会社を経営する方から伺いました。
2023年現在、インドネシア政府としても観光業は力を入れる産業の一つのためか外国人観光客の戻りは順調といえます。ノマドワーカーが集うチャングーエリアでは、SNSで告知されるパーティーが毎週どこかしらで開催されているので、海外ノマドと知り合うには絶好の場所です。
⑤ バリ島の物価や生活費について
バリ人の生活費は月に約3万円と聞きますし、収入面から見てもそのぐらいの金額と予想できます。
では、日本人が月に3万円で住めるか? と言われるとまず難しいと思います。
なぜなら、バリ島は入国時にビザ取得が必須であり、一般的に取得される30日滞在ができるアライバルビザで約5,000円。滞在先もまともなトイレとシャワーがあるホテルの個室であれば最低ラインが1泊約1,500円。ビザ代と住む場所だけで月に約5万円はかかります。
ちなみに私の直近3か月の平均支出は月に約14万円でした。ほどほどにお酒も飲み、週に1回以上は日本食を食べているので、特にストレスは感じません。物価上昇は、私が住んでいる8か月程度ではあまり感じないですが、在住が長い方に聞くと、コロナ前と比べて10%ぐらいは値上がりしているという声をよく耳にします。物価上昇率のデータが毎年3%程度の上昇なので、感覚とデータが合っていると思います。
まとめ:文章では伝えきれないバリ島の魅力
記事を読まれている方の中にも訪れたこと方が多いであろうバリ島、その魅力をお伝えしつつ、リアルな暮らしと物価事情についてお話させていただきました。
ただ、バリ島の魅力はこの記事だけでは表現できない部分が他にもたくさんあるので、現地に来て直接その魅力を感じていただくのが唯一にして最適な結論だと思います。
まだ行ったことがない方はまずは短期間の旅行、既に旅行経験のある方は少し長めの滞在をしてみることをオススメします。
最後に、快適なバリ島生活をするためにお金と治安についての注意喚起です。
バリ島についてネットで検索をすると「バリ島は安い!」「月に8万円で暮らせる」という情報も目にします。しかしながら物価の面で既にお話したように月10万円を切る生活は結構な我慢を強いられます。
また、バリ島でも外国人を狙ったひったくりなどの軽犯罪、危険な裏道、野犬などが存在しますので、訪れる際に最低限の警戒は必要。
ここ最近は外国人観光客の増加に伴い、渋滞の悪化や宗教的な聖地でのマナー違反を外国人が起こすトラブルもあり、外国人観光客に厳しい目を向けている方も一定数います。現地のマナーや文化を尊重して滞在を楽しんでほしいと思います。
この記事が皆さんのバリ島のリアルを知るきっかけになれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
写真・文:田渕 智
編集:車 俊治(Kuruma)、ヤスダツバサ(Number X)
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