【現地人に聞くシンガポール🇸🇬事情】“何かとお金はかかる”けど人が集まる魅力。シンガポールの文化や年収、物価事情
シンガポール=何でも高い国。
某名探偵ものアニメの映画やハリウッド映画「クレイジー・リッチ!」の舞台にもなり、ゴージャスなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私はこの地に渡星(星=シンガポールの漢字表記)してもうすぐ2年。主人の強い希望で決まった転勤。ある日突然、「来月からシンガポールで働くことになった」と告げられ、右も左も分からないまま勢いで準備を進めることに。当時、何も知らない状態で引っ越ししてきたためトライ&エラーを繰り返しながらの生活が始まりました。
この記事では、私が感じたシンガポールの文化に加えて、住んで分かったイメージとのギャップを紹介していきます。
多人種×多言語が多文化を生み、共存する国
シンガポールは多文化共存の国で、人口の約7割はシンガポール人で、そのうちの7割強が中華系、1.5割がマレー系、1割弱がインド系です。このように多彩な民族が混在する多民族国家であるがゆえに、独自の多文化主義が育まれ、新たな文化が創造され続けているのがシンガポールの特徴です。
この多様性が食文化や宗教、お祭りなどに表れており、多彩な食事や宗教行事が楽しめます。これだけ多くの要素がミックスされた国なので、街が頻繁にお祭りやイベントで賑わっているという印象を受けます。
また、シンガポールは公用語が英語やマレー語、中国語、タミル語の4つであり、多言語が共存している点も特長的。渡星当初、店員さんが中国語を話していることに気が付かず意思の疎通が図れないことも度々ありました。
フレンドリーで礼儀正しく優しい人が多い
シンガポール人は一般的に親切で礼儀正しいと言われています。多くの人が英語を流暢に話し、外国人に対して歓迎的です。店員さんやタクシーの運転手さんも、「日本から来たの?」「シンガポールはどう? 楽しい?」など、よく話しかけてくれます。
休日は軽い運動と美味しい食事&お酒でリフレッシュ
週末の午前中は運動をして、午後は家でのんびりと過ごします。そして、夕方早い時間からお酒を楽しむという流れが一番多いです。シンガポールには美味しいレストランが多くあるので、行きたいお店を日々チェックしています。
多ジャンルの屋台が集まった「ホーカーセンター」
シンガポールには「ホーカーセンター」(以下、ホーカー)という屋台が集まった場所が多く存在します。場所により食べられるご飯の種類も異なるので、ホーカー巡りをオススメします。
個人的には、日本では味わえない様々なスイーツをぜひ食べていただきたいです。私は漢方たっぷりチェンタン(Cheng Tng)と、豆花や愛玉ゼリー、仙草ゼリーをミックスした九鮮というお店のデザートが大好きです!
住環境や物価、年収…… 住んでみて分かったイメージとのギャップ
シンガポールといえば、きれいに整備された街並みと最新技術が集積した都市のイメージが強く、私も実際に住む前はすべてが整った国だと思っていました。ところが、現地に住んでみると意外なギャップを感じることが多々ありました。
例えばコンドミニアムの家賃は東京よりずっと高額ですが、日本では想像ができないトラブルが多発します。トイレの故障やエアコンの水漏れなどはもちろんのこと、私の友人はなんとシャワー室の天井が落ちてきたこともあるようです(笑)。家賃の高さとは裏腹に、住宅設備の品質には課題があると感じました。
また、外食は日本以上に高価である印象がありましたが、ホーカーを利用すればリーズナブルに食事を満喫できます(後述)。実際に住んでみると、表面的な印象とは違う新たな発見が数多くある街であることを実感しています。
特に住宅と外食が高騰・数値や体感で見る物価事情
シンガポールの物価水準は、特に住宅と外食において高騰しているといえます。都心の1LDKアパートの賃料は、多くのところで月額4,000シンガポールドル(約44万円)はかかります。レストランでの食事は元々高い上に、消費税の8%(2024年から9%に変更)と10%のサービス料が加算されます。ちなみに皆さんご存じ一風堂のラーメンは一杯で20シンガポールドル(約2,200円)を超えてしまいます。
一方で、現地で人気のホーカーや公共交通機関は相対的に手頃な料金設定となっています。ホーカーの食事は1皿当たり3シンガポールドル程度(約330円)からと、コストを抑えた食べ方ができ、バスやMRT(高速輸送=地下鉄など)では1ドル程度(約110円)の運賃で利用可能です。
このように、シンガポールの物価は全体的には高いものの、現地ならではの楽しみ方を見つけることで手頃に生活を送ることも可能です。
金融/IT職が人気。収入格差は個人に依存する
シンガポールの年収水準は、日本と比較すると全般的に高め。2022年のMoM(労働省)統計によると、世帯当たりの月収中央値が約110万円となっています。ただし、職業によって大きな収入格差があるのが特長で、金融やIT関連の専門職が高給取りの人気業界となっています。シンガポールでの年収は個人の職業とスキルに大きく依存しており、画一的に高給取り国とは言い切れないのが実情です。
まとめ:高生活水準なシンガポールに人が集まるわけ
シンガポールは多文化共存の魅力ある都市国家で、高い生活水準と多様な経済活動が行われています。しかし、高い物価や厳格な規制なども存在し、実際の生活は想像と異なる側面もあります。それでもシンガポールに外国人が集まるのは、さまざまな体験を提供してくれる魅力的な場所であるからかもしれません。
写真・文:門川 理美
編集:ヤスダツバサ(Number X)
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