劇的Before→After! 記事に「編集」が入ると何が変わるの? オウンドメディアとSNSの成果につながる「3つのポイント」
「記事はライターが書くものだ」
そんな風に思っている人も多いのではないでしょうか? ライターが“文章を書く人”であることは事実です。しかし、オウンドメディアや企業SNSで“成果の上がる記事を作る”となると、ライターだけでは完結しません。「編集者」が絶必となります。一方で、「編集者が記事を書くんでしょ?」と言われることもありますが、これも大きな間違いです。
記事を作るのがライター、メディアを作るのが編集者
1本1本の記事を執筆するのがライターで、メディア全体を俯瞰して最適化を図っていくのが編集者、といえばわかりやすいでしょうか。
チーム監督と選手
料理長とコック
店長と販売員
現場監督と職人
… のように、「編集者とライター」は役割や立場が違うのです。
では、記事制作に編集者が入ると、具体的にどう変わるのでしょうか? 編集者の具体的な役割とともに、オウンドメディアとSNS、それぞれ3つのポイントから編集者が入るメリットをお伝えします。
まずは、オウンドメディアやSNSにおける編集者の役割から。
編集者の仕事は「PDCAをまわす」こと
オウンドメディアでもブログでも、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSでも、戦略的な発信をしなければ、「認知度を上げる」「問い合わせを増やす」といった目的を達成することはできません。編集者不在のままオウンドメディアやSNSを運用していても、「ただコンテンツを出しているだけ(作ることがゴール)」で終わってしまいます。
編集者が入ることで、コンテンツのクオリティを上げ、結果を分析し、戦略や企画をブラッシュアップして… と、PDCA※をまわしていけるようになるのです。先の例でいえば、「いくら能力の高い選手がいたとしても、いい監督がいなければ強いチームはできない」というわけ。
オウンドメディアもSNSも、「記事を作る」ことに注視しがちですが、記事を作る前後にある「企画」や「分析」が重要で、これこそが編集者が担う大切な役割であり業務です。
オウンドメディアで編集者が果たす3つのポイント
オウンドメディアの役割は、主に「検索流入から記事を読んでもらい、目的につなげること」にあります。目的は、製品やサービスあるいは企業の認知度アップであったり、来店訴求や予約獲得であったりとさまざまですが、目的なくしてオウンドメディアを開設する意味はありませんし、目的を達成するためには、それ相応の施策や工夫が必要です。
ポイント① (検索される)顕在ニーズ・SEOに対応した企画力
なによりも大切なのが、企画力。味の素が運用しているオウンドメディア「味の素パーク」を例に説明しましょう。このメディアでは、たくさんのレシピを掲載することで、料理をする人の検索ニーズを満たし、記事の中で自社製品をアピールしています。
重要なのは、ただ“レシピを多く載せているだけ”ではなく、旬の食材や「10分以内」「電子レンジだけ」といった、検索ニーズのありそうなレシピを記事にしていることにあります。これが、「(検索される)顕在ニーズ・SEOに対応した企画力」があるということです。
もし、あなたの会社がアパレル関連なら、いち早くトレンドを記事にすることも必要でしょうし、ニッチでも普遍的なファッションの記事を用意しておくことも大事です。企画は“思いつき”ではなく、“なぜ、その記事が必要なのか”の理由がなければ、成果につながる記事になりません。
ポイント② 記事の品質アップとチューニング
企画が決まったらライターに記事の執筆を依頼します。原稿があがってきたら記事公開へと進めますが、ライターから納品された原稿をそのまま公開することはありません。編集者が、しっかりと編集を行います。
企画意図に沿った構成(記事のゴールを見据えたコンテキストの設計)、編集方針(ターゲットやそれに沿った文体、言葉遣い、言い回しなど…)など、記事のゴールと道筋を明確に示します。
「事実誤認はないか」「誤解や炎上が生まれそうな表現はないか」「誤字脱字はないか」… というあたりが、まず最低限必要な編集点。そのうえで、「思わずクリックしたくなるタイトルや見出しの考案」「製品やサービスにつなげるためのリンク追加」などを行います。
いくら読み応えのある記事ができたとしても、「読んでみたい!」と思わせなければ読んでもらえないので、タイトルやリード文は特に重要です。当記事のタイトルが仮に「編集者の仕事について」だったら、きっとあなたはクリックして読んでいないのではないでしょうか(笑)?
ポイント③ 記事だけではないサイト全体のUX最適化
運良くGoogleやYahoo!といった検索エンジンから記事を見てもらえたとして、「あぁ、おもしろかった!」で終わってしまっては、企業メディアとしての役割を果たしているとはいえません。“次のアクション”につながっていないからです。
「◯◯社ってこんなおもしろい情報を発信しているんだ」
「他の記事も読んでみたいな」
「この会社の製品、買ってみたいな」
「サービスについて、もっと詳しく知りたいな」
… などと思ってもらい、“次のアクション”を起こしてもらうことが、オウンドメディアにとって必要となります。
そのためには、記事のカテゴリー分けをすることも大事ですし、バナーなどを使って会社や製品・サービスを知らせる施策も必要です。「オウンドメディアはSEO対策が大事」と思われがちですが、“記事にたどり着いたあと”を考えることが重要となります。
SNS運営で編集者が果たす3つのポイント
Twitter、Facebook、Instagram、TikTok、Flickr… どれも、手軽に情報発信ができるプラットフォームとして多くの人が利用していますが、企業で運用するとなれば、そこに“成果を求める運用”が必要となります。SNSには、「アルゴリズム」といって閲覧する人の興味のあるコンテンツを表示させるような仕組みがあるのをご存知の人も多いでしょう。
ポイント① エンゲージメントにつながるコンテンツ設計
SNSは、アルゴリズムによりエンゲージメントを多く獲得するほど、SNSプラットフォームからの評価(例えば、Facebookの場合“エッジランク”)があがり、より多くの人に表示されるようにもなります。
エンゲージメントとは聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは「いいね!」やコメント、シェア、URLクリックといった、SNS上でのアクションのこと。自社の投稿を少しでも多く見てもらうためには、エンゲージメント(=アクション)をしてもらえるような、投稿づくりが求められるのです。
どうしたら「いいね!」を押してもらえるか、あるいはコメントやシェア、リツイートをしてもらえるか。
これはコンテンツの企画力だけでなく、プラットフォームごとの空気感に合わせた文体でのライティング、画像や動画といったクリエイティブづくりやその配置、コメントやクリックにつなげるための誘導文言が必要となります。また、フォロワー以外にリーチさせるためのハッシュタグ選定も、特にInstagramでは大切です。
ポイント② 分析からニーズを読み取るマーケティング力
SNSは、オウンドメディアにおけるPVやUU以上に、「いいね!」やコメント、リツイートにより反響が可視化されやすい特性があります。各数値から、「興味を持たれやすいテーマ」「いいね!がつきやすいビジュアル」などがわかりますから、よりよい数値が出るように改善してくことができます。
また、「いいね!」などのエンゲージメントのほか、曜日や時間によるリーチやインプレッション(表示された人数/回数)の変化も見られますから、「朝より夜、平日より休日に投稿した方がよさそうだ」といったラーニングにできるのです。
さらに、ユーザーの地域や年齢層、性別などもわかるため、「想定より若い人に興味を持たれている」「女性にアプローチするには別の施策が必要だ」といったこともわかってきます。
SNSというと、“バズるコンテンツ”が重要だと思われがちですが、本当に大切なのは、日々の投稿を積み重ねていった結果に表れたデータと、そのデータを生かすマーケティング力なのです。
ポイント③ アルゴリズム変更やトレンドを察知する情報力
各SNSとも、アルゴリズムや機能は頻繁にアップデートされます。その変化に気づかなければ、「いつのまにか数値は右肩下がりになっていた……」といったことになってしまいます。
特にFacebookやInstagramは、新しく実装した機能ほどリーチやインプレッションが出やすいようにアルゴリズム変更を行いますから、常に新機能をウォッチし、いち早く実践することが求められます。
また、Twitterなどでは瞬間的にトレンドが変化していきます。テレビで取り上げられたスイーツに関連する投稿が瞬時に増えたり、企業アカウントが実施したハッシュタグキャンペーンが広まったり、さまざまな要因でトレンドは発生しては変化してくのです。そして、こうしたトレンドの変化を繰り返していくうちに、Twitter文化が変化していきます。
トレンドや文化の移り変わりは、日頃からSNSに接して情報収集をしていなければ、その変化にはなかなか気づけないでしょう。
創業は易く守成は難し。編集者による「運用」なくして成功はない
オウンドメディアやSNSで成果をあげている企業の多くは、きちんと編集者を入れて戦略的にクオリティの高いコンテンツ制作を行っていますし、反対に伸び悩んでいる企業は、「記事はライターに任せておけばOK」「SNSは担当者が1人いればいい」と考えているケースが多く見られます。
1本1本の記事を作ることももちろん大切ですが、編集者の手でそれらの記事を生かす“運用”こそ、オウンドメディアやSNSで成果をあげるカギになるのです。
編集者は「運用」の面から企業をサポートするためにも存在します。
文:木谷 宗義/type-e
編集:ヤスダツバサ
運営会社:Number X, Inc.