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【現地人に聞くイギリス🇬🇧事情】音楽、アート、ファッション…… 多彩な魅力を持つ、イギリスの文化、社会、物価事情

「イギリス」と聞いて思い浮かべるものは何でしょうか。

世界中から注目される王室やアフタヌーンティー
世界的な大都市ロンドン
緑豊かなカントリーサイド
……
はたまた、ビートルズやパンク、ブリットポップを生み出した音楽シーン、気鋭のアートやファッション、もしくはシェイクスピアやハリー・ポッター、シャーロック・ホームズなどの文学・映画・英国ドラマかもしれません。いろいろな魅力をもつのがイギリスという国です。

私がロンドンに住み始めたのは1993年3月。14歳でイギリスのロックを聴き始めて音楽にハマり、「いつかロンドンに住んで現地でライヴを体験したい!」という夢が叶って渡英。今はフリーランスのライターとしてさまざまな媒体に寄稿しており、イギリス生活も30年を超えました。

今回は私の体験を交えながら、文化・社会・経済を中心に、リアルなイギリス生活を紹介していきます。

写真・文:名取由恵
イギリス在住ライター/翻訳者/英国ドラマ愛好家。ライフワークは英国エンタメ・英国文化・イギリス人の研究。東京都出身。日本の各メディア及び在英日本人向けの情報誌に、イギリスの最新情報、エンタテインメント、ライフスタイルなどの記事を寄稿している。
・Webサイト:https://www.yoshienatori.com/
・X:@yn358


古き良き伝統と時代の先端が融合するイギリス

歴史的にもイギリスは日本人にとって馴染みのある国で、イギリス関連のニュースは日本でもよく報道されているかと思います。ロイヤルファミリーやマナーハウス、英国ジェントルマンなど古き良き伝統と、ロックやファッション、映画ドラマ、建築、アートなど、時代の先端を行く新しさが上手く融合しているのがイギリスといえます。よくイギリス人は寛容といわれますが、我慢強く、子供や動物にやさしく、自分の住む街や母国を愛し、普段はテキトーだけどやるときはやる! という人が多いと感じます。

イギリスでは物価が高騰。家賃や年収の相場は……?

この数年、イギリスでは物価が高くなっています。国家統計局が発表した消費者物価指数は、2024年3月の前年同月比で4.7%の上昇。光熱費、家賃、交通費などが軒並み上がっています。ロンドンの1カ月の平均家賃は2,121ポンド(約40万8,000円)で、全国平均の1,223ポンド(約23万5,270円)と比較して、他の地域より住居費が特に高いことがわかります。

参考までに、イギリスのビッグマックの値段は5.39ポンド(約1,037円)です。円安で1ポンドが200円近くになっている現在、イギリスの物価はさらに高く感じられます。

一方、平均年収に関しては、地域や年齢、男女で異なりますが、40〜49歳の全国平均は 40,040ポンド(約770万円)で、最低賃金は2024年5月現在、23歳以上で10.42ポンド(約2,005円)になります。

私は20年ほど前にロンドン市内から電車で30分ほどの郊外に庭付きの一軒家を購入しました。この辺りは家の値段も家賃も手頃なので助かっていますが、ロンドンに住んでいる人は家を買うのも借りるのも高くて、かなり大変かと思います。

犯罪件数や麻薬の蔓延、移民増、階級格差…… 多くの社会問題も抱えている 

ほかにも、イギリスは多くの社会問題を抱えています。まずは日本に比べて犯罪が多いこと。2023年9月までの1年間、イングランド&ウェールズで起こった犯罪件数は670万件。詐欺や窃盗などが多いですが、暴力事件や強盗もあります。日本に比べて麻薬が簡単に手に入るので、麻薬の蔓延や麻薬依存なども深刻な問題になっています。

また、移民も急増しています。イギリスは昔から移民が多く、移民や多様性に寛容とされますが、最近は小型ボートで英仏海峡を渡り不法入国する移民が急増しており、住宅補助金や給付金、医療費などの負担が大きくなっています。

さらに、イギリスには階級格差があります。日本にはかつて「一億総中流(日本国民の大多数が自分を中流階級だと考える概念)」という言葉がありましたが、イギリスには上流階級や中流階級、労働者階級とあり、住む場所はもちろん、仕事や趣味、ライフスタイル、着る服など、すべてが異なります。労働者階級から中流階級へ、階級間の移動も可能ではありますが、階級間の交流はあまりないのが現実です。貧富の差がどんどん拡大し、おりからの物価高で貧困層がますます生活困難になっています。

「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家。無料で医療を受けられる「NHS」

「ゆりかごから墓場まで」とは、1942年に提出された「ベヴァリッジ報告書(ウィリアム・ベヴァリッジが示した社会保障制度拡充のための一連の報告書類)」で提唱され、戦後のイギリスにおける社会保障制度のスローガンになった言葉です。

生まれてから死ぬまで、社会全体で人々に生活保障をするという理念の中心になるのが、国民に公平な医療サービスを提供することを目的に1948年に設立された「国民保健サービス(NHS)」。

イギリスでは基本的に医療は無料。入院も手術も出産もすべてタダ! 私も息子を出産したときはNHSの病院にお世話になりました。NHSこそは、戦後イギリスの最大の功績でイギリス人の誇りといえますが、実際には常に財政難や人手不足に悩まされていて、受診や治療にかなりの時間がかかり、場合によっては数カ月待つことを強いられるなど厳しい現実に直面しています。

「イギリスの飯はまずい」とネタにされがちだが…… 驚くほど美味しい!

「イギリスの飯はまずい」などとよくネタにされますが、在英邦人の立場からいうとまったくそんなことはないです。近年、イギリスのレストランのクオリティは爆上がりで、驚くくらい美味しい料理が食べられます。

ただし、物価上昇で外食も高くなっており、簡単なランチでも10ポンド(約1,950円)、ディナーなら安くても30ポンド(約5,760円)くらいはします。

大英帝国時代の植民地からの移民が多いこともあって、インド料理や中華料理は定番メニューで、テイクアウェー(お持ち帰り)の店も多いです。ほかにも、近隣ヨーロッパはもちろん、アジア、中近東、アフリカ、南米など、世界各地のさまざまな美味しい料理が楽しめます。ヴェジタリアン・ヴィーガン人口が多いので、どこのお店に行っても必ずヴェジタリアン・ヴィーガン用のメニューが用意されているのもイギリスらしいといえます。

伝統のイギリス料理といえば、フィッシュ&チップス。朝からボリュームたっぷりのイングリッシュ・ブレックファストも有名です。しかし、私的にイギリス料理の一推しはロースト料理。オーブンで焼いたチキンやビーフをローストポテトや付け合わせの野菜と一緒にいただくもの。日曜にはサンデーローストを食べるのが英国家庭の定番です。家族が集まって一緒に食べるサンデーローストの味は格別で、これぞイギリス人のソウルフードです。日曜日にはパブでもサンデーローストを提供している店が多いので、ぜひお試しを。

イギリスといえばパブですが、日本でおなじみのラガーのほか、ペールエールやIPA、スタウトなど幅広い種類があり、クラフトビールやジンも人気。最近パブの数も減ってきてはいますが、依然としてパブはイギリス人には切っても切れない存在です。 

人生を楽しむイギリス人のライフスタイル

 イギリスでは残業や休日出勤をする人は少なく、仕事はお金を稼ぐ手段と割り切って、余暇は趣味やスポーツなど自分の好きなことをして、自分の生活を楽しみます。フルタイムで働く労働者の有給休暇は年間28日で、みなさんきっちりと有給を消化します。

イギリス人が大好きなのが休暇旅行(イギリス英語ではホリデーholidayと呼ぶ)。国内はもちろん近隣のヨーロッパも飛行機で2時間くらいと気軽に行けるので、仕事の休みとなればホリデーにでかける人が多いです。イギリス人に人気なのはスペインやポルトガル、ギリシャ、カナリー諸島、カリブ海などのリゾート地。冬が長く暗いので、太陽がさんさんと輝く南の国でゆっくり過ごすホリデーが一番人気です。

イギリス国民に人気のスポーツといえば、何といってもフットボール(サッカー)。ほかにラグビーやクリケット、テニスなども愛好者が多いです。
イギリス人がこよなく愛するのが住居です。日本と違って、古くなった家屋を建て直すということは少なく、築数十年から数百年の中古の家を修理し、自分好みのインテリアにしながら住み続けるのです。家の修理(DIY)を趣味にしている人も多いです。同じく、自分の庭を手入れし花を育て癒しの空間を作り上げるガーデニング人口も高いです。

週末には、家族や友人と自然のなかを散策したり、パブでゆっくり過ごしたり、趣味やスポーツを楽しんだりと思い思いに過ごします。

男女ともに「肉食系」が多い、恋愛事情

日本では「草食系男子」という言葉が流行りましたが、イギリスは男女とも「肉食系」な人が多く、幾つになっても恋愛に果敢にチャレンジします。国家統計局の調査によると、2022年にイングランド&ウェールズに住む16歳以上で結婚または市民パートナーシップの関係にある割合は49.4%。結婚・市民パートナーシップを結ばずに同棲しているカップルは22.7%とされます。一方で、離婚率はおよそ42%。結婚したカップルのおよそ半数は離婚というわけです。

イギリス人は特に結婚という形にこだわっていないものの、パートナー同伴で行動するカップル文化なこともあって、離婚後もまた新たなパートナーを探すことが多く、シニア世代で再婚するカップルも少なくありません。

出会いの場は、日本と同じように、学校や職場、友人の紹介、パーティやバーなど外出先、オンラインデートなど。コロナ禍のロックダウン以降、オンラインデートサイトやデートアプリで出会ったカップルの数はますます増えているようです。 

【まとめ】家族や友人と楽しい時間を過ごし、人生をエンジョイするイギリス流の生き方

イギリスについて駆け足でご紹介しました。この国に住んでいると、自分が好きなことをやりながら、家族や友人と楽しい時間を過ごすことが何より大切だと感じられます。日本よりもいろいろな意味でプレッシャーを感じることが少ないので、ラクに素のままでいられる場所でもあります。人生をエンジョイすることが得意なイギリス人にならって、私も自分らしく生きていきたいと思っています。

※1ポンド=192円で計算 

写真・文:名取由恵
編集:ヤスダツバサ(Number X)

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