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【現地人に聞くインド事情】急激な経済成長と変わらない文化が共存する国。インドの文化や年収、物価事情

ナマステ!

本日は人生観を変えてくれることで有名な「インド」という国についてお届けします。同じアジア圏にありながらも、東南アジアよりは遠く、イメージで語られることが多いインド。誰もがインドについて話すと、何かしら印象を持ち合わせていて、たくさんの逸話を共有してくれます。

「皆に知られていながらも、本当は知らないことが多い不思議な国」というのが、インドの正しい立ち位置でしょうか。私個人としては、インド現地の企業で働いていた経験、インドにおける拠点の立ち上げから、インド人の就業支援など、これまで7年ほどインドと関わってきました。

今回はその私の経験をもとに、インドという国をほんの一部紐解いてみたいと思います。(ちなみに私は、インドに行って特に人生観は変わらなかったことをお伝えします)。

文:大角佳代
2016年にインドの現地採用として就業を開始。当時からインドの生活やビジネスなど幅広い分野の情報発信をインターネットを中心に行っている。2018年に帰国後、株式会社メルカリに入社し、IIT出身のインド人エンジニアや、海外エンジニアのオンボーディングや就業支援を担当。2022年にはベンガルールのエンジニア開発拠点設立時の、現地マーケティング責任者として従事。YouTubeやXでは、インドに興味があるビジネスマン向けの情報発信を継続中。ラジオパーソナリティとして毎週水曜日22時の番組 #タバタバ ではビジネス界の著名人を中心にゲストに迎えている。
・X:@kayoreena1021
・YouTube:India Channel by India Blogger Kayoreena!
・note:@kayosuke618


次の世界の中心へ、カオスと多様性の国 インド

皆さんがインドと聞いて、まず何を思い浮かべますか? 私がインドの特徴をあげるとしたら「カオスさ」です。

カオス
混沌や無秩序な状態を表す日本語。具体的には、整然と整理されていない、混乱した状態や秩序の欠如を指します。また、物事が予測不可能であり、規則性やパターンが見出せない状況も「カオス」と表現されることがあります

大正から令和の生活仕様が共存するカオスな世界

ベンガルールの街の様子

インドの都市や中心部にいくと驚かされるのが街から溢れ出るエネルギーです。交通ルールがほとんどないような状況の中に、オートリキシャ(トゥクトゥク)で走る人や自転車を漕ぐ人、定員以上の人を載せて走るバイク、最新のEV車、ときには皆さんがイメージする牛や豚がいたり、逆走する車がいたり。

そして、信号のない道を横断する人と鳴り止まないクラクション。

そのカオスな状況こそ、インドそのものを象徴しているような状況です。その熱気を初めて体験する日本の人は、大きなストレスを受けながらも、私たちの社会では失ってしまった適当さや必死さ、不確実性さ、懐かしさ…… いろいろな感情を同時に体験することができます。

インドの路地裏にある家族経営の薬局

道を歩くと家族経営をしている小さな個人商店から、グローバルチェーンのファストフード店、若い人が好きそうなおしゃれなカフェなど、様々な店舗を見つけることができます。皆さんが想像するような、いわゆるローカルのマーケットもある中で、高級ブランドを揃える大型ショッピングモールもあります。昔ながらの伝統や生活様式と、凄まじいスピードで発展する世界が共存するのも、インドの特徴です。

インドは「アジアのEU」豊かな多様性と複雑性

インドのラジャスタン州の首都ジャイプールにある宮殿。ラジャスタンとムガールの2つの様式が融合した建築として有名

カオスさと同時にインドを象徴する言葉の一つに「多様性」も挙げられます。インドは州や地域ごとに、異なる言語を使っており、公式に言われているものだけでも、22言語あります。

もっと深掘りすると、インド全土に400以上の言語があると言われています。地域ごとで生活様式や宗教も異なっており、同じ「インド」といっても、出身地が違うと言葉が通じなかったり、全然違う文化の中で育つということも珍しくありません。

第3の経済大国として試される次の10年

ITハブとして有名なベンガルールの中規模のショッピングモール。土日、多くの家族ずれで賑わっている

近年、注目されているインドの「経済成長」。いよいよ2023年には、ついに中国の人口を抜き、インドが世界一の人口(約14億人)となりました。平均年齢28歳といわれるこの人口動態(一定期間における人口変動のこと)は、今後もますます消費活動が活発になると予想されており、実際に中間層の消費が大きく伸びていることが注目され、世界各国からの投資が集まっています。

スタートアップ大国としても注目されるインドのユニコーン企業(評価額10億ドル以上・設立10年以内の未上場ベンチャー企業)は100社を超えています。テクノロジーのハブとしての世界的なエンジニアの輩出も無視できません。カオスでユニークなインドの環境の中に、間違いなく次の10年で注目すべきビジネス機会が存在しているといえるでしょう。

インドの物価は本当に安いのか?

オフィスで食べるランチのカレー

日本と比べると、物価は全体的に安価でありますが、切り取り方によっては日本より高価になる部分もあります。例えば、オフィスでよく提供されるカレープレートは、カレーが数種類とチャパティがついても、300円ほどに収まります。これだけで十分にお腹いっぱいです。

ライドシェアの「Uber」ですらも、1時間ほど乗ったとしても1,000円以内で利用できます。よく観光地として有名なエリアは多少観光客価格に設定されていたとしても、一般的な日本の人にとっては高すぎるということはないです。

基本的に「インドに住む、インド人の生活水準で生活」しようとした場合、その金額は日本人的な感覚では安くなります。反対に「新しく入ってきている生活様式」を選択すると、日本にいるときより高くなる場合があります。

マーケットで売っているインドデザインの衣料品は安い

高価格帯は中間層以上がターゲットに。新しい価値観をどこまで広げられるか

インドで食べた日本食。現地向けにアレンジされ、価格は日本の2倍ほど

例えば、インドで日本食を注文してみると、日本より少し内容が劣っていても、日本の価格より1.5〜2倍ほどする場合が多いです。インドのマーケットでT-シャツを買うと、500円もしない価格で買えますが、インドで売られている「ユニクロ」は、日本価格の1.5倍ほど。

インドの路上のチャイは50円もしない金額で飲めますが、スターバックスで注文するコーヒーは、日本の価格より高いケースも。こういった高価格帯に当たるサービスはインドの中間層以上がターゲットとされており、その金額は日本のものと同等、またはそれ以上に設定されています。

ちなみに、私が現地に滞在していた2017年の頃は、日本食レストランの利用者のほとんどが日本人だったのに対し、今では多くのインド人が日本食レストランを利用しています。比較的高い値段設定の日本食も、少しずつ消費され始め、日本酒などのおいしさも一部の富裕層から認知され始めています。もちろんまだまだ道半ばではありますが、そういった多国籍化の変化も起こってきています。

ユニクロは外資系企業が集まるビジネスエリアの一等地に店舗を構えており、高収入のビジネスマンをターゲットにしていることがわかる

個人的に思っていることは「インドでは日本ほどのサービスを期待して同額のお金を使っても、サービスの質に限界がある」という点です。例えば、日本で1泊数十万円する部屋に泊まったとき、部屋の内装から夕食のコースまで、様々なサービスを体験できると思います。

同じ金額をインドで使っても、正直そのようなサービスの質を期待することはできません。同じ金額を使うなら、日本で使う方が、いわゆるコストパフォーマンスと満足度の高いサービスを同時に受けられると思います。その点ではインドにはまだ伸び代があるといえますね。

月収は17万円程度の中間層が増加傾向、さらに激しい人件費高騰も

エンジニアが働くテックパークには、昼寝室やジムなども整備されている

インド人の年収に焦点を当ててみると、日本の新卒基準のような概念はないため、職業により様々。中間層といわれる月間10万ルピー(日本円で17万円程度)を稼ぐ層は増えており、ベンガルールのソフトウェアエンジニアの給与に限っていうと、世界的な求人の増加から、日本円で年収1,000万円を超えるプレイヤーを見つけるのも珍しくありません。そういったビジネスマンが多数存在する都市部のエリアに関しては、紐づいて激しい価格高騰も見られます。

変化する都市部と変わらない田舎。インドの結婚事情も

インターネットが登場し、世界の情報がどこからでもアクセスできるようになったことから、よりグローバルな視野を持ったインド人の世界的な活躍は加速する一方、住んでいる田舎や村から一歩も出ずに過ごしているインドの方も数多く存在しており、層によりライフスタイルの変化は多種多様です。日本でも同様の傾向は見られますが、インドではその情報格差や変化の振り幅が大きいように思います。インドの文化や歴史を強く反映しているのが「結婚」という行事だと思います。

東京に住むインドの友人と韓国の友人が行ったデリーでの結婚式

インドでは親が決める「お見合い婚(アレンジマリッジ)」が、今でも半数以上といわれています。家族や親戚のつながりが非常に強いインドにおいて、例えば違う宗教やカースト同士の結婚がタブーとされる場合も珍しくありません。その傾向は、より田舎や村の方で強く見られます。一方で、都市部に住む若者たちは、恋愛結婚や国際結婚も増えてきています。

マッチングアプリで男女が出会うということも、都市部では一般的になってきていますが、田舎では親にバレると大変なことになると聞きます。男女の出会において非常に保守的であるからです。マッチングアプリを開発するスタートアップ企業は、そういった小規模の村(Tier2,Tier3と呼びます)をターゲットに、市場を開拓するためのマーケティング施策を打っています。そういった行動仕様は、徐々にオープンで自由なものに変わってきています。

まとめ:急激な経済成長と変わらない文化・生活仕様が共存

世界的な視点で見ると、米国のIT企業のトップ層がインド人である話が有名であるように、各業界で活躍するインドの方は非常に多く、今後その層が世界に与える影響力はますます強くなっていくでしょう。しかしそういった強いネットワークを持っているのは一部の富裕層であり、大半のインドの方はインド国内の都市部以外の町や村に住んでいます。

一部の急激な変化と、全体的に変わらない文化と生活仕様を共存しながら進んでいくのが、インドという市場だと私は理解しています。次の10年、インドは確実に世界の話題の中心部にいることは間違いなく、穏やかに経済成長を止める私たちは、インドという不思議な国を少しずつでも正しく理解していく必要がありそうです。

写真提供・文:大角佳代
編集:ヤスダツバサ(Number X)

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