【現地人に聞く中国🇨🇳香港事情】香港人は本当にお金持ち!? デモとコロナを乗り越えた、香港の文化や年収、物価事情
素晴らしい夜景を誇り、煌びやかなイメージのある香港。
中華圏の文化を残しつつも、外資系ブランドや高層ホテルなどインターナショナルなエッセンスが入り混じる街は、独特の魅力を放ちます。
香港への突然の移住は私にとって、新たな冒険の始まりでした。まずは憧れのザ・ペニンシュラ香港で過ごした夢のような2週間。しかし、2019年にデモ活動が始まり、街は緊張感に包まれました。その後、コロナ禍が始まり、想像していた華やかな香港生活は遠くなりました。そんな香港での楽しみやお金事情を、私の経験を元に語ります!
突然の香港移住に期待が高まる
2018年末に、夫の仕事の都合で香港に移住しました。とても華やかなイメージのある、香港への移住が急に決まり、ワクワクしたのを覚えています。香港に到着してから家が見つかるまでの間、憧れのザ・ペニンシュラ香港に2週間滞在しました。それはそれは華やかな世界で、サービスも施設も一流、夢の様な時間でした。
2019年に始まった香港デモを経験。そこは、まるで戦場……
家も見つかり落ち着いてきたところで、翌年2019年3月からは、香港で大規模なデモ活動が勃発……。
「逃亡犯条例改正案の完全撤回」や「普通選挙の実現」などを要求するもので、当時勤めていたPR会社の香港人の同僚たちも、「週末はデモに行ってくる!」と何かイベントのように、正義を求めて奮い立っていました。
状況は悪化し、11月には香港理工大学(PolyU)で、学生らデモ隊と警官隊の激しい衝突が起こります。これは、日本でもテレビでご覧になった方が多かったのではないでしょうか?
その頃、私はちょうど妊娠していたので、警察が投げる催涙弾の煙を吸うとお腹の子に影響が出ると聞いて、恐怖心から家に閉じこもっていました。奇しくも香港理工大学(PolyU)はその頃住んでいたマンションのすぐ近く。朝目覚めると、ドン! という爆発音と共に煙が立ち上るのが見え、急いで窓を閉めました。まるで戦場……。
政治的な話はここではあえてしませんが、メディア関連の仕事に携わっている立場としては、とても複雑な気持ちでこの時期を過ごしました。
そのままコロナ禍に突入……。
デモが収まらないまま、2020年からは世界的にパンデミックの状況が悪化……。香港では、2歳以上は公共の場でマスク着用が必須。マスクをしていなければ罰金で、感染した際の隔離も日本に比べてかなり厳しいものでした。
皆で集まることが全くできない状況で、デモは収束したものの、私が想像したような華やかな生活は、残念ながらできませんでした。
……そして、癒やしへ。香港で大流行した 「ステイケーション」
そんな中で、香港で大流行したのが、ラグジュアリーホテルでの「ステイケーション」。コロナ禍の影響で相場よりも手頃に「ステイケーション」ができるのが嬉しくて、私たち家族も本当にたくさんのホテルに行きました!
辛かったコロナ禍でも、「ステイケーション」が私たち家族の大きな気晴らしに。2023年2月に香港を去ったときも、空港から近い「ディズニーランドホテル」のシンデレラスイートに泊まったことがいい思い出です。日本だと予約すら取れないと思うので、とても良い記念になりました。
【文化編】イギリスの植民地時代の文化が根付く
香港は約150年間イギリスの統治下にあったことから、イギリスの文化が根付いています。多くの人が英語を話すことができますし、アフタヌーンティーを楽しめるお店がたくさん。
アフタヌーンティーといえば、定番の「ザ・ペニンシュラ香港」ですが、他のホテルでもファッションのハイブランドとコラボレーションしたアフタヌーンティーや、街のカフェでもインスタ映えのアフタヌーンティーなどが常に話題になっていました。
旧正月は赤くド派手なお祝いムード。豪快に楽しむ
香港では中国大陸と同じく、毎年2月頃に旧正月をお祝いします。1月1日の新年よりも旧正月の2月頃の方が明らかにお祝いムードが盛り上がり、街中が赤くド派手にデコレーションされます!
また、赤い封筒にお金(ライシー)を入れ、マンションのドアマンや、お手伝いさん、会社の部下全員にも配ります。日本のお年玉のような感じですが、こんなに色々な人に配るのかと、驚きました。
そして、私が大好きだったのが、各ホテルやレストランが販売する「大根餅」。「チャイニーズ・ニュー・イヤー・プリン」と呼ばれていて、ケーキのように可愛いラッピングで販売されており、日本でいうならばクリスマスケーキのように、飲食業界全体で大商戦が繰り広げられます。
【物価編】富裕層はたくさんいるのか!? 一般家庭でも雇うヘルパーさん
ところで、香港というと「お金持ちが多い」というイメージをお持ちの方も多いのでは?
私もそう思っていたのですが、実際に住んでみると、イメージとは違いました。確かに一部の富裕層はとんでもなく裕福なのですが、全体の平均年収は日本とあまり変わりがないといわれています。
それなのに、とにかく生活費が高い!
特に私が住んでいた頃、香港は“家賃が世界一高い街”といわれていました。東京のタワマン最上階程度の家賃を払っても、普通のサイズのマンションにしか住めません。
なので、家族の生活費を賄うために、夫婦フルタイムで共働きすることが基本で、その分 家事や育児をヘルパーさん(お手伝いさん)に任せるスタイルの家庭がとても多かったです。香港政府がフィリピンなどからの働き手にビザを発行していて、ヘルパーさんへの賃金は自分のフルタイムの賃金の半分以下なので、トータルでみると経済的なのです。
同じ家に住んでいたヘルパーさんは、家族の一員のような感じで、お料理やお掃除を手伝ってもらい、彼女のおかげで、子供が産まれて間も無く仕事を再開することができました。賛否両論ありますが、私は日本でワンオペに苦しむママたちを見ていたので、子供が2歳になるまで香港でヘルパーさんのサポートを受けながら子育てができたことは、とても良かったと考えています。
グルメも、買い物も♪ ローカル気分を味わうなら「深水埗(シャムスイポー)」エリアがオススメ
高級なホテルやレストランが立ち並ぶ香港ですが、ローカルのディープな街中もまた、とても魅力的です。
例えば、日本にも上陸している香港点心の専門店「添好運(ティム・ホー・ワン)」の本店がある街「深水埗(シャムスイポー)」。
ミシュランガイドに掲載されている有名店ですが、値段もお手頃で、いつも多くの地元民たちで賑わいます。「添好運(ティム・ホー・ワン)」の他店舗や日本のお店でも食べたことがありますが、やはり本店の味が一番!
美味しい点心をいただいた後は、「深水埗(シャムスイポー)」の玩具屋さんに立ち寄るのが楽しみでした。デパートで売られている、ヨーロッパから輸入されたようなナチュラル素材のおもちゃとは対照的に、ローカル店のおもちゃはカラフルでとても派手、素材はプラスチックがメインです。
まとめ:変わりゆく香港、その行方を見守る
英国と中国の文化が共存し、ラグジュアリーな雰囲気とローカルの活気が融合する唯一無二の街、香港。現在は、以前に比べて中国色が濃くなり、英語を話す人が減ったともいわれています。コロナ禍では政府の厳しい規制で、海外からの観光客が全く入ることができず、一時は街が眠ったように静かな状態が続きました。
しかしながら、規制を緩めると決めたら、驚くほど動きが早いのも香港。今では国内外から自由に人が行き来し、新しいホテルを開業したり、海外からの報道関係者を積極的に招致したりするなど、政府は観光にかなりの力を入れていると聞きます。また活気が戻りつつある香港の行方を、これからもあたたかく見守っていきたいと思います。
写真提供・文:クマール・みな美
編集:ヤスダツバサ(Number X)
▼海外在住の日本人に聞く、世界のリアル