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【広報歴17年・ベテラン広報3つの習慣】グローバルで活躍する広報パーソンの1日とスキルアップの習慣化

私が広報という仕事に出会ってから早17年が過ぎました。

リクルート新卒入社後すぐに配属されたタウンワーク静岡の営業。田んぼの中を自転車で走り回って営業をしていた毎日は大変だったけれど、とてつもなく楽しい毎日でした。

ところが、たった9ヶ月で東京に呼び戻され、営業統括や編集の仕事を少し経験したあとに出会った「広報」という仕事。始めた当時は、まさか10年後に広報PR事業を起業するだなんて、夢にも思いませんでした。

今は起業から7年目を迎え、一緒に頑張ってくれるメンバーも増えたり、グローバルな仕事の比率も増えたり…… と、ありがたい形で事業が成長を続けています。中堅規模の企業やBtoB企業、オーナー企業など、広報の効果を一番感じていただけるお客さまはが中心で、最近では日本へ進出してくる外資企業からも多くお仕事をいただいています。

もう17年、されど17年。まだまだ成長途中の私ではありますが、毎日の習慣を簡単に紹介していきたいと思います。

文:穐吉なな子(JAYID Inc. CEO/国立千葉大学 非常勤講師)
英ロンドン大学 King's Collage 戦争学修士卒業。2007年株式会社リクルート入社。在職中は社外広報やブランディングを主に担当。子会社では広報機能のゼロからの立ち上げや経営企画を歴任。2015年に退職後はヘルスTechベンチャーのシンガポール法人立ち上げに携わり、当時5歳だった子どもと2人でシンガポールへ母子単身赴任。帰国後に戦略コンサルティングファームを経て、2018年に戦略広報コンサルティング会社のJAYIDを起業。Number Xのメンバーにも参画。
・note:https://note.com/jayid_nanako
・Webサイト:https://jayid.co.jp/ja


広報暦17年・グローバル戦略広報の1日

「雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ)」
ということわざが意味するのは、たとえ小さな努力でも根気よく続ければ成功につながる、ということ。

日々のルーティーンを継続し続ける筋トレは本当に大切ですよね。

#01 起床5:30〜:夜間に配信されたニュースをチェック

土日を含めて毎日5時半くらいに起床。すぐに、夜間にきている国内外ニュースのヘッドラインにざっと目を通します。特に最近は外資のお客さまも増えてきているので、為替相場・政治など堅い系のニュースはもちろん、海外アーティストの話や、TikTokで人気のショート動画まで、気になったものにざざっと15〜30分ほど目を通します。

▼チェックするニュースメディア例

#02 7:00〜:まずは「気分をアゲる」モーニング・ルーティン

朝、気持ちがウキウキする日もあれば、全然気分が乗らない日も……。
だけどやっぱり気分が乗っていた方が楽しいですよね。だから私は毎朝気分をアゲるためのモーニング・ルーティンをしています。

それは「テ」=「Tea(お茶)」のことです。

過去に私が母子単身赴任をしていたシンガポールでは、濃いミルクに濃い紅茶をインし、コンデンスミルクで甘さづけした飲み物を指して「テ」と呼び親しまれています。

この「テ」と、シンガポールのソウルフードのひとつであるカヤトースト*のコンビネーションが大好きだったのですが、帰国してからも、この味が恋しくて、自宅で毎朝作ります。

カヤトースト
バターとカヤジャム(卵の黄身とココナッツミルクのジャム)をたっぷり塗ったトースト。これを甘口醤油をかけた温泉卵につけて食べる

といっても、ズボラな私がやるのは、たっぷりのミルクを電子レンジで沸騰寸前まで温め、そこに多めの茶葉で濃い紅茶を入れるというシンプルな作り方。ですが、これがあることで、だんだんと気持ちがアガってきて、美味しい「テ」を飲み終わる頃には、やる気で満ち溢れているのです。

#03 8:00〜:1日の計画を立てる

#03-1 今日のカレンダーに作業時間を全て入力

まず、PCの前で行うことは、その日にやるべき・やりたい仕事をすべてカレンダーに入力すること。ToDoリストも兼ねています。

特に、広報のようにアイデアや創造性が大事な職業は、「う〜ん…… と考えているうちに2時間が経過、アウトプットゼロ」…… なんてことも容易におきます。恥ずかしながら、私もいまだに時々そうしたことがあります(汗)。熟考は大事ですが、限られた時間の中できちんとアウトプットを出すことはもっと大事なので、決めた時間内でアウトプットを出せるように取り組んでいます。

#03-2 ミーティングの直後には必ず15分のバッファタイムを

私の場合、平均的に毎日3〜4件程度のミーティングが入ります。時々、1日に6〜7件入る多忙デーもありますが、かならず全ミーティングの直後15分にバッファタイムを設定。

ミーティング後には、大抵なんらかの宿題や作業が出てきますが、そんなときの私の鉄則は「即やる」です。

ミーティング時に盛り上がっても、その後別の仕事をすると、スルスル〜っと耳からその熱量やTo-Doが抜けていってしまうんですよね。それが、「冷静になって考える」ということなのかもしれませんが、私的には大事な情熱すらも抜けてしまうような気がしてなりません。

#03-3 予定通り終わらない作業があれば、その都度予定を簡単に組み直す

予定を立て、実行し、完了できなければ見直す…… この一連の流れは、ビジネススキルとして多くの学びがあります。

自分の時間の見立ての甘さ、作業内容別の得意不得意、仕事の優先順位付けなどが、如実にわかります。だからこそ、予定通りに終わらない作業があった場合、放ったらかしにするのではなく、簡単で良いので都度予定を組み直して、限りある時間の中で最大限の仕事量が終えられるよう、努めます。

#04 ビジネスタイム:執筆作業をあらゆる場所で行う

広報の仕事というと、いろいろなものがありますが、私は特に執筆系の仕事も多くあります。お客さまのリリースやSNS投稿の執筆などはもちろん、講演原稿のスクリプト執筆、自社のLinkedInやSNSオウンドメディアの執筆など、毎日様々。

そこで、最近私がよく使うのが“音声入力”。iPhoneだと、スマホのフリック入力の右下にマイクのマークがあるので、そこを押して喋るだけで、話した言葉がどんどん画面上で文字になっていく優れ機能です。

今まさに、このnoteの執筆も音声入力で行っていますが、スマホの音声入力ツールは非常に優秀で、かなり早口でしゃべっても、ほとんどの日本語を正確に文字に起こしてくれます。

そのため直近では執筆活動の半分ぐらいは移動しながら、スマホに向かってぶつぶつ、と何かをささやきながら行っています。

歩いているときの方がアイディアが浮かんできやすいですし、タイピングよりも喋るスピードの方が断然早いので、私はこの機能をよく使いながら執筆活動を行っています。

#05 19:00〜:一旦、閉店ガラガラ

メリハリを効かせるためにも、一旦閉店し、5歳の娘とお風呂に入りながら色々話をして、夕食の時間へ。

仕事も大事ですが、やっぱり子どもと過ごす時間はかけがえのない時間です。あっという間に大きくなってしまう子ども。その一瞬一瞬を目に焼き付けるかのように、19時以降から子どもが寝るまでの時間は親子の時間としてとても大事にしています。

でも…… 平日は夜も朝もOFFは基本無しとはいっても起業をしてから、本当に仕事のON/OFFの境目が限りなく薄くなってしまっていることは自覚しています。

そのため、土日や早朝、夜遅くでも仕事の連絡がくれば普通に返しますし、必要とあれば土日返上で働くことも厭いません。これこそまさに仕事が楽しいと思わなければやってられませんが……。

長年欠かさない3つの習慣

#習慣01 広報担当として絶対外せないのは“インプット”

広報として、絶対に外せないのは、お客さま企業や業界に関するニュースの把握。企業広報の方であれば、自社や自業界に関するニュースということになるでしょう。

広報として、「昨日うちの会社のニュースが出ました」と報告を受けたときに「知りませんでした。すみません」などとなるほど広報として恥ずかしいことはありませんものね。それらを防ぐために、私がいつも実践していることを紹介していきます。

#01-1 お客様の社名や社長名で登録したGoogleアラートのチェック
キーワードを色々と登録しておくことです。Googleアラートに、お客さまの社名や社長・役員の名前、業界の名前などのキーワードを登録。設定していても日経などは引っかからないこともあり、100%捕捉できるわけではないので注意が必要ですが、無料ですし、今まで私も何度もこのアラートに救われてきました。

#01-2 他に登録すべきGoogleアラートは「炎上」
他に、私がGoogleアラートに登録して役立ってくれているキーワードは「炎上」です。広報仲間、お客様問わず炎上ネタはよく話題にのぼります。これはゴシップ的な意味というよりも、現在のSNS全盛期時代、企業は自社の発信が炎上することを恐れていることが多いからです。そのため、世の中ではどんなことで炎上し、どう収束していくのか等、数多く事例を知っている広報は重宝されます。
ぜひ登録してみてください。世相が日々変化していくことにも気づけるはずです。

#01-3 『広報会議』のざっと読み
広報の仕事を始めると、誰もが一度は耳にするであろう『広報会議』という雑誌。広報のキホンのキから学べる内容もありますし、他企業の取り組みが具体事例とともに紹介されているので、若手の頃からかなり重宝しています。

#01-4 Amazonで「広報」とつくものは基本全部読む
日々、広報という業界は進化しています。そのため、Amazonで1ヶ月に最低でも2回は「広報」というキーワードを入れてみて、新しいものが出ていれば必ずKindleで購入。すみからすみまで読み込む必要はないので、目次の中で気になる箇所だけ、目を通すようにしています。

#01-5 英国・米国・シンガポール・台湾・ドバイ5拠点の広報仲間と情報交換
グローバルな案件を扱ううちに、特に英国・米国・シンガポール・台湾・ドバイ5拠点に、PR関連の情報交換を気軽にできる仲間が増えました。

最初は、何か大きな案件がある時だけ情報交換をしていたのですが、今では月に1〜2回程度の頻度で情報交換をするように。

この情報交換で私が注意しているのは「クレクレ星人」にならないということです。グローバル広報のノウハウは、私も含めどの広報にとっても喉から手が出るほど欲しい情報のため、ついつい相手の情報ばかり聞き出してしまいそうになります。

しかし、それでは相手からすると常に「Give」している状態で、健全な状態ではありません。なのでこちらからの情報もきちんと相手が「Take」できるよう、情報交換をする時は常に日本の広報事情も伝えるようにしています。

例えば、日本の政治や経済の大まかな動き、最近メディアで話題になっていること、日本で流行しているモノ/コトなど……。

#習慣02 人脈を大切に。複数団体に所属

広報の仕事の中でも特に私が大事にしているのは記者と会う機会です。

例えば2人の広報パーソンがいると考えてみてください。
・いつも自社や取引顧客のアピールしかしてこない広報
・自社や取引顧客のアピールもしてくるけれど、取材相手となる人探しの相談すると、幅広い人脈の中から紹介してくれる広報
どちらが会いたい、と思ってもらえるでしょうか?

答えは明白。

そのため、広報同士の集まりや記者との懇談会はもちろんのこと、多様な人との出会いがある団体にいくつも所属しています。例えば、私が所属しているのは「ロータリークラブ」「英国商工会議所」など。ほかにも2つの女性経営者の会、1つのスタートアップ経営者の会に所属しており、定期的に開催されるイベントには必ず顔を出すようにしています。

#習慣03 広報ウーマンは教養も大事にしたい

記者と対等に付き合っていく中で、幅広い知識は必須です。記者と話すとよく感じるのですが、興味の守備範囲がとにかく広い。そのため、記者と会ったときに、政治・経済・社会・技術などに話が及んだ際、それなりにきちんと会話ができる程度には勉強をします。

#03-1 多読派。一度に20冊以上を同時進行で読む

大学生の頃に読書の面白さに目覚めてからというもの、ずっと多読派を続けています。そのため私のKindleにはかなりの数の本が収められていて、常時20冊以上を同時進行で読んでいます。

ビジネス書はもちろん読みますが、文学・ノンフィクション・歴史・政治・世界の宗教・旅行記・コミックまで幅広く読みます。(途中でギブアップする本も多数ありますが笑!)

#03-2 ススめられた本はすべてその場で購入

人と話していると本の話題になることがあると思います。私は、誰かに本を勧められたら基本的にその場ですぐにKindleで購入します。なぜなら、3歩あるくと忘れてしまうニワトリのような私はその場で買わないとすぐに忘れてしまうからです(笑)。

というのは半分冗談ですが、目の前にいる人が勧める本がどんな内容なのか気になりますし、自分だけが選んでいてはどうしても偏りが出るからです。

#03-3 NetflixやYouTubeで話題の動画は見る

本の他にも『Netflix』などのストリーミングサービスや『YouTube』などで話題の動画はチェックをします。もともとさほど動画系を観るタイプではなかったのですが、ここ数年で海外の人との仕事が増えるにつれ、日本のアニメなどが話題にのぼることが増えたからです。

「私、『進撃の巨人』のエルヴィンがすごく好きなんだけど、あなたは誰推し?」と聞かれて、何のことだかさっぱりわからず恥をかいたのが3年前のこと。

最初は海外の日本好き層と話を合わせるために始めた動画視聴でしたが、いつの間にかその面白さに魅了されて海外進出を果たした有名どころのアニメはほとんど制覇してしまいました(笑)。

広報は、信頼される情報源としてメディアの先にいる人々に影響を与えることのできる素晴らしい仕事。メディアとお互いに尊敬し合える関係性を構築し、世の中を少しでも良い方向に変えていけたなら、これ以上の喜びはありません。ぜひ、広報の仕事を存分に楽しんで欲しいなと思います。

文:穐吉なな子(JAYID
編集:ヤスダツバサ(Number X

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