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【現地人に聞くハワイ🌴事情】正直、物価は高い! けど、それでも住みたいパワーがそこにある。ハワイの文化や年収、物価事情

太平洋の真ん中に位置し、日本から飛行機で7~8時間。日本人が考える海外旅行ディスティネーションとして、あまりに身近で、そしてこの地を愛してやまないリピーターも多い「ハワイ」。コロナ禍以前の2019年までは、毎年約150万人もの人たちが日本からハワイを訪れていました(2023年10月現在は、その数は以前の1/3程度となっていますが  ※1)。

※1 ハワイ州産業経済開発観光局

パッと浮かぶのは、美しい海に太陽が眩しい常夏の楽園、というイメージでしょうか。癒やしの島、という表現も良く耳にします。

かくいう私も、20歳の時に旅行でハワイを訪れて以来、この魅力にドはまりした一人。2000年に結婚を気に移住、気づけば20年以上をオアフ島・ワイキキで過ごしてきました。子育ても仕事もバタバタで、未だに驚きや発見の連続。そんな私から見た「ハワイ」の今をご紹介できたらと思います。

文・松本律子
日本で広告制作や雑誌編集などに関わった後、2000年に結婚を機に大好きだったハワイへ移住。現地日本語メディアの編集長を務めた後、独立。現在はハワイでフリーランスのエディター/ライターとして活動しています。在住20年以上にして、まだまだ知らないハワイの魅力を模索中。コーヒー好き&ウクレレ好き(聴く専門)。SNSでもハワイのあれこれをランダムに発信しています。
・インスタグラム:@ritsukohawaii
・X:@ritsukohawaii

@ritsukohawaii

2000年、私がハワイに移住してきた理由と今

大学生時代、友人と訪れた気軽なハワイ旅行。そのときは、オアフ島とカウアイ島の2島を巡るいわゆるパッケージツアーでした。そこで見たこともない美しい海とキラキラ眩しく光る街並みにノックアウトされ「いつかハワイに住む!」と勝手に決意したのが20歳のとき。

若気の至りというか、その時は現実的にあまり深く考えていなかったのが正直なところなんですけどね。

子育てに奮闘しながら、ハワイ情報誌の編集長を経て独立

その後は、日本で出版関係の仕事に就き、多忙な日々に突入。ハワイへはたまに旅行する程度だったのですが、そんな中、ご縁があって結婚した相手がアメリカ永住権保持者だったことからアメリカへ移住することに。もともとロサンゼルスに基盤を持っていた夫に、「(子育てを含め)ハワイで生活したい!」という私の願いをなんとか聞き入れてもらい、2000年にハワイへ移住しました。

ついに夢が叶った、と思ったものの、ハワイとはいえ海外での生活は想像以上にハードで、2人の子供を育てながら右往左往する日々。なんとか子どもたちをプリスクール(保育所)に預け、現地での仕事をスタート。ハワイの日本語情報フリーマガジン&Webサイトの編集長を務めてきました。

現在は、独立してフリーランスのライター、編集者としてワイキキを拠点に活動しています。

癒やしの楽園・南国ハワイの魅力って、そもそも?

ハワイといえば、一年を通して温暖な気候がなによりの魅力。ホノルルでは真夏でも、最高気温は31度ほど、しかも湿度が低いのでさわやかに感じます。逆に真冬でも最低気温は20度を下回ることはまれ。海水温度も高めなので、一年中海で泳ぐことができます。

圧倒的な“南国ハワイの輝き”。便利さと自然のバランスが、ちょうどいい

そして初心者からアスリート系の人まで楽しめるトレッキングコースも多数。最も手軽なところでは、ワイキキからすぐの「ダイヤモンドヘッド」なら、数時間で山頂まで行って帰ってこられます。

このような「自然」と、ワイキキやアラモアナなどにある多種多様なショップ、レストランなどが徒歩圏内に隣接し、共存している場所。このバランスが、老若男女に愛されるハワイの魅力なのではないかと感じています。

コロナ禍の厳格なロックダウン時も「サーフィン」はOKだった

ちょっと余談ですが、2020年3月のロックダウン時、外出や仕事が大きく規制されたハワイ。一時期は、公園やビーチで寝転ぶことすら禁止されていたのに、そんな中でも「サーフィン」だけは許可されていたのが印象的でした。

ハワイの人たちにとって、海、そしてサーフィンって本当に特別なんだとあらためて実感。私自身はサーフィンをしないのですが、人が自然とともにあることの心地よさってやっぱりハワイの本質なのだと思います。

コーヒーやカカオ栽培、自然保護区…… アメリカの中でも「唯一」だらけ。ハワイは特別な場所なのだ。

アメリカ50州の中で、ハワイ州はかなり特別な位置付けにあります。オアフ島、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島などの主要な島をはじめ、ハワイ諸島にはなんと約132もの島々があるってご存知でしたか?

ハワイアンモンクシール(アザラシ)やウミガメなどの絶滅危惧種も多く生息するハワイ。中でも、アメリカ最大の海洋自然保護区に制定されるハワイ北西諸島は「パパハナウモクアケア海洋国立記念地区」と命名され、2010年には、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

また、実はアメリカの中でコーヒーを商業用に栽培できるのはハワイ州だけなんです。少し意外かもしれませんが、この気候と土壌が格別に美味しいコーヒーを育ててくれるのですね。チョコレートの原料であるカカオも同じく、アメリカではハワイ州でしか栽培されていません。ハワイの自然の恵みは、唯一無二なのです。

現在は、世界三大コーヒーのひとつでもあるコナコーヒーをはじめ、各島で育ったコーヒーやハワイ産カカオを使ったチョコレートなどがお土産やギフトに人気です。もちろん、ハワイ産ではない原料を使ったものも多く売られていて、それはそれで美味しい。ですが、購入時に素材や原産地を確認して厳選してみるのも通の楽しみ方としてオススメです。

「メイド・イン・ハワイ」は旅行者にもローカルにも特別

ちなみに、年に一度開催される「メイド・イン・ハワイ・フェスティバル」というイベントでは、ハワイ中の「ハワイ産アイテム」が集結、各生産者やアーティストなども会場に登場します。毎年麻から長蛇の列ができる大人気のイベント。旅行者も訪れますが、メインはローカル(ハワイ在住者)の人々。ハワイの人々が、コミュニティー内でお互いをサポートし合う気持ちにあふれているのを感じます。

日常のあちこちで、ハワイアンミュージックに触れられる贅沢

ハワイの歴史や文化を語る上で、絶対に欠かせないのがフラと音楽。文字を持たなかった古代ハワイアンは、唄とダンスで様々なことを語り継いできました。現代においても、その伝統は大切にされています。

私自身は、とくに「ウクレレ」の音色が大好きです。4弦しかない小さな楽器が奏でる、軽やかで楽しくて、時には驚くほど重厚なハワイならではの音楽。人が集まれば、自然と誰かがウクレレを弾き、誰かが歌いだし、そして誰かが踊りだす…。ハワイの日常に溶けこむ、ハワイアンミュージックは、やっぱり最高なのです。

ショッピングモールやレストランなどでは、無料で楽しめる音楽やフラのエンターテインメントも多いので、ロコと一緒にお楽しみあれ。

カラカウア王は明治天皇に謁見していた! 日系人とハワイの歴史とは

ハワイの歴史には、古くから「日本」が関わっていた

日本とハワイは、昔から深い関係を持っていました。ハワイ王朝時代、第七代の王様であるカラカウア王は1881年(明治14年)に日本を訪れ、明治天皇に謁見したという記録が残っています。

そのときに、ハワイへの日本人移民の受入れを申し出たカラカウア王。これが1885年に始まる「官約移民」のきっかけとなり、多くの日本人がハワイへ移民としてやってきました。現在ハワイに日系人が多いのは、この歴史背景によるものです。

明治時代から、世界大戦を経てなお、日本と特別な絆を持ち続けてきたハワイ。私達が今、ここで穏やかに、大きな差別を受けることもほとんどなく生活できているのは先人たちのおかげと、感謝せずにはいられません。

初詣に盆ダンス……「日本より日本を感じる」ことも!

そんなわけで、ハワイでは日本の風習や文化を感じることが多くあります。年始にはハワイ出雲大社などに初詣、夏には各地の祭りでやぐらを囲んでの盆ダンス(盆踊り)に興じるローカルの姿は、特別なものではありません。「ZORI(草履)」「BENTO(弁当)」「MUSUBI(おむすび)」などの日本語も市民権を得ています。


年配の日系人の中には、煮しめやお団子など「昔懐かしい日本」の味を守っている方も多くて。日系スーパーでは、和食食材も売られています(ただし値段は高い…)。そんなハワイだからこそ、旅行に来る日本人が安心できたり、なんとなくノスタルジックな想いを感じるのかもしれません。

とはいえ「どこでも日本語が通じる」はちょっと違う

ハワイのイメージとして「日本語が通じるから安心」と思っている方も多いのでは。もちろんワイキキやアラモアナなどのショップやレストラン、ホテルでは日本語が通じたり日本語メニューがあったりします。

ただし、生活するとなると話は別。病院や子どもたちの学校など、やっぱり英語は不可欠です。もちろん、アメリカ本土と比べたら日本語の通じやすさは格段だと思いますが、それでも「移住」「ビジネス」などを考える場合は、事前準備をしておくことを強くおすすめします。

ちなみに私は、その準備を怠ったため、今でも英語で苦労したり失敗したりすることだらけでして。だからこそ、自戒を込めて。

正直に言います。家賃・物価の上昇は収入と全然見合わない!

ニュースなどでも伝えられていますが、昨今のアメリカのインフレはすさまじいものがあります。特にハワイは、もともと観光地で物価が高いところにさらに追い打ちをかける値上げ。

テイクアウトのプレートが約2,000円、これがハワイの現実

ワイキキ周辺では、テイクアウトのランチプレートでも$15~がベース。日本円なら約2,200円~です(1ドル145円で計算の場合)。もちろん、ちゃんとしたレストランで外食しようと思ったら、それ以上の価格にTipも加わるのでさらに贅沢に。つらい……。

オアフ島の一戸建て、中央価格で約1億6,000万円って!!

家賃の高騰も大きく、ホノルルでは1BR(キッチン付きリビングルーム+寝室1部屋)のコンドミニアムで、最低でも月$1,500ほど(約22万円)から。新しい物件やセキュリティのしっかりした物件だと、当然さらに高額になっていきます。

一戸建て住宅の購入ともなれば、ますます夢のような話に。大手不動産会社「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」が発表した2023年11月のホノルル不動産協会情報(※2)によれば、オアフ島の一戸建て住宅の中央価格は約$1,100,000(約1億6,000万円)とのことです。

※2 https://list-hawaii.jp/column/hawaiiRE/163/

需要と供給のバランスからしても、ハワイの不動産は人気が高く価格が下がりにくいので、投資目的で購入する人が多いという話も聞きますが、それにしても、すごい金額ですよね。

ちなみに、4人家族の最低生活賃金(Living-wage)が121,674ドル (約1,700万円)という数字も(※3)。2024年1月より、ハワイ州の最低賃金が$14(約2,000円)になっているとはいえ、普通に考えて収入と支出のバランスはあきらかにおかしい。だから、共働き家庭が多いですし、2job、3jobと呼ばれる「仕事の掛け持ち」も当たり前なのです。

※3 経済政策研究所/Economic Policy Instituteによる計算

お金があるにこしたことはない。けれど、楽しみ方は人それぞれで。

でも。そんな中でも私たちはたくましく生きています。ハワイの風を感じて、まぶしい日差しを浴びて、きれいなビーチでごろんと寝転がる贅沢はなにものにも代えがたい。自炊を増やし、オープンマーケットやコスコなどの会員制スーパーでまとめ買いをし、外食するならお得な「ハッピーアワー」を駆使して(笑)、自分たちの居場所を模索しているのです。

旅行で来られる方も、「ハワイって何もかも高いよねー」とぼやくだけでなく、やっぱりこの場所の魅力を体感して「来てよかった」と思ってほしいのです。フォトジェニックな写真も撮りまくって、満喫してほしいなあと。心から、そう思うわけです。

まとめ:ビーチに足を浸して、目に見えない大きなパワーを充電しよう

世知辛い話が多くなりましたが、ハワイの空気感はやっぱり心地いいことをあらためてお伝えさせてください。ビーチでは、日常を少し忘れて深呼吸してみてほしいです。ここに暮らす私達も、裸足になって海に足を浸したり、オレンジに染まるサンセットを見ることで、ポジティブなパワーを日々充電しております。これなら、お金もかからないですしね(笑)。

もし、「今更ハワイなんて……」と思っている方がいらっしゃったら、ぜひあらためてこの楽園へ足を運んでみていただきたい。刺激が欲しい人なら「進化し続ける新しさ」を、ちょっと疲れている人には「何もしない贅沢時間」を、お好きなようにたっぷり楽しんでもらえたら幸いです。

▼ハワイのこっそりグルメまとめもご覧ください

写真・文:松本律子
編集:ヤスダツバサ(Number X)

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