【現地人がまとめた、ブラジル🇧🇷を知るためのキーワード10選】文化、人種、人柄、習慣、仕事、政治…… 良いところ、悪いところ。
時差も、季節も、位置も、日本とは真逆にあるブラジル。
日本との時差はちょうど12時間で、今は真冬のクリスマスシーズンです。
初夏のクリスマスを楽しんだ後、年越しは半袖短パンで街の夜空に打ち上がる花火を見ながらシャンパンをあけます。ブラジルに来て10年目になりますが、日本と「真逆」の国に住むことは驚きの連続でした。
今回は、前回のブラジル事情に続いて、ブラジルを身近に感じてもらうために「気になる10個のキーワード」を紹介していきます。
#01 地理:ブラジルは南国? 雪が降る地域も!
ブラジルの面積は日本の22.5倍、大きく5つの地域にわかれており、気候や人種の割合、文化が異なります。
#02 文化:サンバだけじゃない、多種多様なカーニバル
地域ごとに特徴があり、ブラジルの重要イベント「カーニバル」が良い例。世界的に有名な「リオのカーニバル」ではサンバに合わせてパレードが開催されますが、サルヴァドール(北東部)ではアシェやパゴージ・バイアーノといった現地で絶大な人気を誇る音楽と共にカーニバルを楽しみます。
#03 人柄:ブラジル人は人懐っこい?
人との距離は“近め”。
親族や友人同士の挨拶は握手やハグ、頬と頬を合わせるキスをします。
レジに並んでいるとき、バスを待っているとき、エレベーターに乗っているとき…… 気づいたら知らない人と立ち話♫ なんてこともよくあります。全体的におおらかで、気が長い人が多いです。ブラジルに着いた頃、私の拙いポルトガル語を最後まで聞いてくれる人が多いことには感動しました。
#04 人種:混血が最も多い
2022年の国勢調査では混血が白人を超し、最も多い人種となりました。
元々ブラジルの地に暮らしていた先住民や、1500年にブラジルを発見したポルトガル人入植者、ポルトガル人が奴隷として連れてきたアフリカ人、奴隷制が廃止されてから新たな労働力としてやってきた移民(欧州、中東、アジアなど)がブラジルで子供を産み「ブラジル人」となりました。ブラジルで生まれた場合、両親の国籍に関係なくブラジル国籍をもらえます。
#05 習慣:世界一〇〇が好き
ブラジル人はとても綺麗好き。68%の国民が1日に平均2回シャワーを浴び、世界で最も多い回数です。夏は高温多湿になることや、先住民の水浴び習慣が関係しているのですが、浴槽につかる習慣はありません。
#06 仕事:みんなサッカー選手に憧れる? Z世代に人気のある意外な職業
ブラジルのセレソン(代表選手の愛称)が人気絶頂の頃は、サッカー選手になることは家族全員の願いといわれていました。しかし、実際は給与の良い医師や弁護士、エンジニアが最も人気の職業であり、両親もそれを望んでいます。
現在、Z世代に最も人気のある職業は、なんと"起業家"です。
#07 日本との接点:来年は日伯友好130周年
1908年に初の移民船「笠戸丸」がサントス港に到着。
コーヒー農園での過酷な労働や文化の違いに苦労しながら、野菜の品種改良などを行いブラジルの農業に大きく貢献しました。今では世界で最も多い270万人の日系人が暮らしており、様々な分野で活躍しています。
90年代には日系ブラジル人が日本へ「デカセギ」に行くケースも増えました。現在は日系四世の日本受け入れ制度も見直され、一定の要件を満たす場合、日本に定住が可能となっています。
#08 政治:選挙投票は国民の義務!
現在は左派政権。2023年1月より労働組合出身のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ(通称:ルーラ)が大統領に就任。 BRICSやメルコスール(南米南部共同市場)との関係強化、貧困層への手当などに力を入れています。
ブラジルは直接選挙によって大統領が決まるため、選挙前は街中が大騒ぎ。投票は義務で、行わない場合は罰金を支払います。近年は二極化が進んでおり、政治観が理由で親族や友人間で亀裂が生じることがあります。
#09 宗教:神を信じる一方……
ブラジル人の10人中9人が神を信じており、公用語のブラジル・ポルトガル語で「Deus(神)」を使ったフレーズは頻繁に使われます。
しかし、神を信じる=宗教的な心があるわけではありません。70年代までは人口の90%がカトリック信仰でしたが、2020年には50%まで減りました。一方、福音派の信者は増え続けています。その他にアフロブラジル宗教やユダヤ教、日本の宗教があります。
ブラジル人の習慣は宗教と関係しているものが多いため、現地で生活する場合、ある程度の知識があったほうが良いでしょう。
#010 課題:ブラジルの「負の遺産」
ブラジルが世界で存在感を高める一方、国内の治安が良くならないのは何故でしょうか。
そこには、植民地主義と奴隷制の負の遺産である「貧富の差」があります。それを改善すべく、貧困層への手当や大学入試制度改革などが行われていますが、今でも国民の半数以上が物価に見合った給料を得ていません。
政治家の汚職や財政再建、初等教育と中等教育における公立学校のレベルアップなど早急に解決すべき問題は山積みです。それでも世界幸福度ランキング(Ipsos,2024)では5位にランクインしています(日本は28位)。
いったい何がブラジル人を幸せにさせるのでしょうか。
▼リアルなブラジルの事情はこちらから
写真・文:島田愛加
編集:ヤスダツバサ(Number X)
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