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【現地人に聞くフランス事情】芸術と食の文化は世界トップクラス!? フランスの文化や年収、物価、価値観事情

パリといえば、華の都と呼ばれる美しい街並みや、ファッションの発信地、豊かな食文化など、人によって思い浮かぶものが様々。

最近では、Netflix配信のドラマ「エミリー、パリに行く」が、外国人視点でフランスの要素をギュッと詰め込んだものだと思います。

かれこれ在仏10年近くなりますが、日々感じていることをお伝えできれば嬉しいです。

文・ウエマツチヱ
フランス企業のデザイナー兼webライター。日本企業の駐在を経て、現地企業へ転職し、現在、日本人の夫とともに2児を子育て中。パリ在住の作家 辻仁成氏が編集長を務めるライフスタイルマガジン「Design Stories」や、小学館の日本文化マガジン「和樂web」にも寄稿している。 

フランス生活研究中

東南アジアや東欧など、ニッチな国への旅行を好んでいた私がフランスに移住した理由

日本の会社からフランスの提携会社への駐在を経て、そこでの働きやすさに気づき、帰任した1年後に同業他社へ転職、再度渡仏しました。当初フランスに抱いていた印象は、ビジネスで行く場所というよりも、楽しい観光地という印象が強かったです。

趣味の海外旅行の行き先は東南アジアや、東欧など、ちょっとニッチな場所が好きだったので、こちらで働き始めてからフランスの魅力に気づき、多くの人が良いというものは確かに良いな、と思ったものです。

スーパーを例にすると、フランスと日本の国民性の違いが分かるかも

身近な例では、スーパーで売られているお菓子も、日本では季節ごとに新製品が出るのに対して、フランスでは長年ほとんど変化のないロングセラー商品が大半です。フランスと比較すると、日本は様々な製品においてバリエーションが豊かだと感じます。あまり変化を求めないフランス人と新しいもの好きな日本人という国民性の違いがそうさせるのかもしれません。

フランスと日本の大きな違いをデザインの進め方で考察

私の場合、日本からフランスに転職した際、業界も職種も企業規模も変わらなかったので、働く環境や、同僚たちの雰囲気は似ていました。デザインという職種においては、働く人の情熱は日仏変わらず、創造力を大事にするフランスは仕事がしやすいと感じました。

フランス企業では、カリスマ性あるトップの力で、物事が合理的に決まっていきます。デザインの進め方も、トップがブランドイメージに沿ってやりたいことを示し、それに従ってデザインを具現化していきます。そのため効率的に進めることができますが、確立したブランドの世界観の中で表現しなければいけなかったり、トップが変わると革命じゃないかというレベルで大きな変更が入ります。

反対に、日本では、デザイナーが幅広いアイディアを提案し、そこから探るように形を作り上げる気がします。何か新しいものはないかと幅広く検討するので、意外性のあるデザインが生まれることがあり、やり甲斐にも繋がったりします。フランスのトップダウンと日本のボトムアップという方式の差ですね。

華やかでラグジュアリーな人が多いイメージ。パリに住んでいるのはどんな人?

ファッションに関して、フランスのブランドは毎シーズン、世界に向けて流行を発信してはいますが、フランス人がそれに従っているイメージはありません。「エミリー、パリへ行く」で描かれているような、パリの華やかでラグジュアリーなイメージはフランスの高級ブランドが作り上げたもので、フランス人のリアルなライフスタイルではなさそうです。

私もフランスにくるまでは、フランス人はお金持ちというイメージがありましたが、日本人が思い描くフランス人の生活は、パリに住むごく一部の人のイメージのような気がします。

実は、フランスの人口約6,800万人に対して、パリ市内に住んでいる人は約220万人と、たった3%程度。平均手取り月収も、フランス全体の約2,500€に対して、パリ市内は約4,000€と、大きな開きがあります。お金にシビアな人が多く、特に若い子たちは日本でいう「メルカリ」のようなサイトで服を売ったり買ったりして、オシャレを楽しんでいます。

パリに住むのは若者という統計も

パリ市の調査によると、住民の34%は20〜39歳で、学生が10%を占めます。家賃が高いので、学生時代はシェアルーム、その後、カップルになったり、結婚したら2人の名義で借り、子どもが生まれると、郊外や地方に引っ越していく、というケースをよく聞きます。もちろん、代々パリに住んでいる人もいますが、パリ市の調査で「3人に2人はいつかパリを離れる予定」とあり、多くはライフステージの一時期をパリで過ごす人が多いようです。

フランスに住む日本人と出会うと、生きる場所が自由な時代になってきたと感じる

海外に住んでいると、様々な職種の日本人の方々に出会うことがあります。日本人であるという共通点だけでも、会って話す機会に繋がります。若い頃に渡仏してフランスの大学を出てすっかりフランスに馴染んでいる人、料理人やヘアメイクなど腕一つで活躍している人、そして企業から派遣されてきた駐在員や、世界中どこにでも住める経済力があるけれど、パリが素敵な街だから住んでいる人など、非常に多種多様。

私は会社勤めの世界しか知らなかったので、海外の企業に転職するしか方法がないと思っていました。最近、ワーホリビザで渡仏してフリーランスとして働く人や、フランスに住みつつ遠隔で日本や中国企業と働く人たちに出会い、住む場所と働く先はどんどん自由な時代になってきたと感じています。

新法により、賃貸物件は激減。パリの不動産事情とは

パリ全体の家賃平均は平米単価約30€といわれていますが、実際はもう少し高く、一人暮らしであれば700€前後で15〜18平米のアパルトマンの屋根裏に、カップルであれば1,200€前後で30〜40平米の2部屋のアパルトマンに住んでいる人が、私の周りでは多いようです。

家賃は、手取り月収の3分の1以下、またCDI(contrat de travail à durée indéterminée:期限を定めない無期労働契約)と呼ばれる正社員でなければ、賃貸の審査を通すのは厳しいといわれています。

最近、新しくできた法律により、断熱性を評価するエネルギー効率が基準以下の住宅は賃貸に出せなくなり、リノベーションをして要件を満たす必要が生じました。そのために賃貸物件が激減。更に、パリ五輪前で貸し控えもあり、部屋を見つけるのは至難の業です。

今は、不動産は借りるよりも買う方がカンタンだと言う人もいます。同僚たちに聞くと「パリの不動産価格は上昇し続けているから、定職についたら即ローンを組んで買うべし!」と、親から言われるそうで、若くてもローンが組みやすい正社員になると、小さなアパルトマンを買う風潮があります。その後、ライフステージに合わせて買い替えていくのです。

話は少し逸れますが、フランスでは新卒一括採用というのが存在せず、まずはインターンシップからキャリアを積み始めます。卒業前に何社かインターンシップをし、そこで見込みがあれば派遣社員や契約社員として就職。その後、正社員であるCDIというポストを得られるまで待つか、多くはより良い条件を求めて転職していきます。

このような道のりを経て正社員になったのを期に、不動産を買う人が多いのです。持ち家か賃貸かという論争はなく「買えるなら持ち家」という感じです。築400年という物件もあったりするのは地震がない国ならでは。家賃も不動産価格も年々値上がりしていくのと、築年数を重ねても、不動産価値が落ちないという点が日本との違いかもしれません。 

どの大学出身かよりも、何を専攻したか。フランス人の学歴観

我が家の5歳の娘は、家では日本語、学校ではフランス語と、二か国語で生活しているのですが、うまくコミュニケーションが取れているか不安になり、学校の先生に相談したことがありました。

そのときの先生の答えは「絵が上手だから大丈夫!」

私は言語能力の心配をしているのであって、絵の上手い下手は話題にしてない…… と思ったのですが、先生は「自己表現できる手段があれば、それが言葉でなくても大丈夫」と。言語も、絵も、自己表現の手段で、なにかしらあれば安心である、という考え方は目からウロコでした。逆に、不得手なものがあっても、それもまた個性。

フランスは学歴主義といわれてますが、どこの大学出かということよりも、何を専門にしたかという点が重視されます。特に私がデザイン業界にいるからかもしれませんが、勉強ができること以外でも、何か得意なものがあったら良い、と考える志向が強いです。

専門や最終学位で、管理職になれるかどうかも決まってしまうので、野心を持って出世を目指すというよりも、割り切って働いている人が多い印象です。長期休暇が気兼ねなく取れるのも、そういった考え方が土壌にあるからかもしれません。

自然のアクティビティを好む傾向にある、フランス人の余暇

フランスに住んでいるとお金を使わずに、余暇を楽しむ方法がたくさんあります。特に、自然の中でのアクティビティを好む人が多く、スポーツ・アウトドア用品店の「デカトロン」はいつ行っても多くの人で賑わっています。キャンプは宿泊費を抑える手段のひとつで、長い夏のバカンスはホテル代を節約するためにキャンプをするという人もいます。

「ランドネ」と呼ばれるハイキングや、天気が良ければ、会社のランチタイムでも気軽に外でピクニックをします。冬は天気が悪くて暗い日が多いので、その反動か、何かと外で日光を浴びたがる人たちが多いですね。

今、日本は旅行先としてフランス人の間で人気ですが、行き先を聞くと、富士登山や飛騨高山、北海道で自然を堪能したいという人も。 東京観光だとしても、上野から恵比寿まで歩くのが楽しかったという友人もいて、異文化を肌で感じることが好きな人が多そうです。

まとめ:世界中のどこに住める自由があっても、フランスの芸術と食は魅力的

世界中のどこでも住めて働けるとなったとき、フランスは選ばれる国の一つじゃないかと思えるほど、 芸術や食などの文化が充実しています。

国が変わると、同じように働いているつもりでも、人としての価値が変わることがあります。日本で私は、大雑把で計画性のない劣等生だったのが、フランスにきたらその短所が目立たなくなりました。また、日本人としてはだらしなくても、フランスではそこそこキッチリしているように見えるということもありました。

食べ物などでも、フランスでは安いバターが日本では高級だったり、日本では気軽に買える海苔がフランスでは貴重なものだったりしますよね。人に対しても、場所が変わることで、そういった価値の変動が起こる気がします。もし、今いる場所がイマイチだと感じたら、思い切って環境を変えてみるのも良いかもしれません。海外がその選択肢のひとつということも……!

参考サイト
パリ市役所調査
不動産サイト

フランス現地人お墨付きの隠れ家レストランも紹介

※ウエマツさんはフランス生活関連の記事を発信中

写真・文:ウエマツチヱ
編集:ヤスダツバサ(Number X)

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